今年の冬も寒い日が続いており、家の中で様々な寒さ対策を行っている方も多いと思います。
そのような寒い中で心配なのが、お風呂に入浴中の『ヒートショック』の危険性です。
今回は、寒いお風呂場や脱衣所を暖かくし、ヒートショックを防ぐ方法を解説していきたいと思います。
お風呂場と脱衣所が寒くなる原因
お風呂場や脱衣所が寒くなる原因は、以下の3点があります。
① 設置場所
家の間取りの中で、最も日当たり良い南側には、リビング、客間などの和室や寝室が配置されることが多いです。
これは、一日の中で過ごす時間が長い部屋を南側に配置するため仕方がないことです。
そのため、水廻りであるキッチン、お風呂や脱衣所はスペースが空いている北側に配置されることになります。
その結果、日が当たらないため気温が下がりやすく寒い場所となってしまいます。
② 窓や換気扇
浴室には、換気を行うため、窓や換気扇が設置されている場合はほとんどです。
換気を行わないとカビや汚れの原因となってしまい、長期的になると家の構造材である木材の腐食やシロアリ被害を引き起こしてしまう可能性もあります。
そのため、換気を行うために外気とつながり、冬の冷たい空気が入ってしまい、温度が下がってしまいます。
また、築30年より長い住宅の窓は、シングルサッシが多いため断熱性能が現在の窓より低く、よりお風呂場や脱衣所が冷えやすくなります。
③ 床材がタイル ・ 暖房器具がない
築年数が古い家の風呂場の床は、タイルなどを使っていることが多く、冷える原因になります。
タイルなどは耐久性は長いですが、保温性がなく、冷たく感じてしまいます。
また、ユニットバスの浴室暖房乾燥機のような暖房機能がある器具の設置も少ないため、入浴前に浴室を温めておくことも難しく、
我慢して過ごしている方も多いと思います。
ヒートショックの危険性
ヒートショックとは、
『温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することによって、失神したり心筋梗塞や脳卒中といった血管の病気などを引き起こす健康被害』のことです。
特に冬場や入浴時に、ヒートショックが起こりやすく以下の流れが考えられています。
- 1.暖かい部屋から寒い脱衣所へ行くと、気温差で血管が収縮し血圧が上がる。
- 2.脱衣所で服を脱ぐと、さらに血管が収縮し血圧が上がる。
- 3.熱い浴槽に浸かると交感神経が働き、血圧がさらに上がる。
- 4.次第に体が温まると血管が広がり、血圧が急激に下がる。
- 5.お風呂から出て着替えているうちに湯冷めし、体の熱が下がらないように再度血管が収縮し血圧が上がる。
このように、入浴中は血圧が大きく変動することがあるため、脳内出血、大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの病気を引き起こしやすいと言われています。
暖かい部屋と冷えた部屋の温度差が10度以上あると、血管が動きやすいため、冬場の浴室・脱衣所・トイレは要注意です。
ヒートショックが起こりやすい人の特徴
以下の特徴に当てはまる方は、注意して入浴するようにしましょう!
・65歳以上
ヒートショックを起こす大部分は、65歳以上の高齢者になります。特に、入浴の関連死の件数は年々増加傾向にあるので、高齢者やそのご家族は注意しましょう。
・糖尿病、高血圧、肥満
糖尿病・高血圧・肥満は、動脈硬化を引き起こすのでヒートショックと関連が深いです。
浴槽から立ち上がった際に血圧が急降下し、ヒートショックで倒れるケースは多くあるので、特に注意が必要でしょう。
高血圧などの人は動脈硬化が進んでいるため血圧が変動しやすく、ヒートショックを起こしやすいです。
・浴室、トイレに暖房設備がない
ヒートショックは、暖かい室内から寒い空間に移動することで引き起こされます。
そのため、暖かい部屋から暖房がないトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後に温かい湯船に浸かるなど、家の中の寒暖差対策が不完全な場合は注意しなければなりません。
浴室やトイレに暖房器具がなく、他の部屋との温度差が大きいと感じる場合は、何か対策を行った方がおすすめです。
・長風呂が好み
お湯に浸かる時間は、合計で10〜15分程度が良いとされています。
長時間お湯に浸かっていると血圧が下がってしまうだけでなく、長時間入浴していると発汗を促し、血液が濃くなってしまいます。
その結果、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなるので、入浴前に一杯の水を飲むことをおすすめします!
また、長風呂が好きな人はお湯の温度を低め(41℃以下)にするなどしての工夫をしましょう。
・飲酒後にお風呂に入っている
飲酒をするとアルコール効果で血圧が下がりますが、入浴をすると血管が拡張してさらに血圧が下がります。
つまり、飲酒後の入浴は血圧が二重に下がるので、危険な状態と言えます。
そのため、入浴前の飲酒はできるだけ控えて、血管に負担をかけないように意識しましょう。
入浴中のヒートショックを予防する方法
入浴の際のヒートショックを予防する方法を5つ紹介します!
対策をおこなって、入浴中の事故を防ぎましょう!
① お風呂場と脱衣所の温度差を減らす
ヒートショックは急激な温度変化によって起こるので、できるだけ温度差が発生しないように心がける必要があります。
・脱衣所や浴室に暖房器具を設置する
・昔のタイルのお風呂場からユニットバスにリフォームする
・窓を断熱性の高いペアガラスや内窓を設置して二重窓にする
・お湯を溜める際にシャワーを使って高い位置から浴槽に注ぐ
・浴槽のフタを開けておく
また、家族がいる場合は一番風呂は避け、二番目以降に入ることで浴室内が暖まった状態で入浴できます。
家族内で協力して、高齢者の一番風呂はできるだけ避けるように配慮することも大切です。
② お風呂の温度は38~40℃に設定
お風呂の温度が42℃以上だと、入浴の際に心臓に負担をかけてしまうそうです。
実際、お風呂の温度が41℃以上になると浴室での事故が増えると報告されているので、熱すぎないように心掛けましょう。
熱いお風呂が好きな場合は、38℃~40℃程度のぬるめのお湯から入り、熱いお湯を足して徐々に温めると良いでしょう。
また、公衆浴場や銭湯を使う際にも、湯温の低い浴槽から入って身体への負担を軽減しましょう。
③ 入浴前は飲酒を控えて水分補給
入浴して汗をかくと、体内の水分が減って血液がドロドロの状態になります。
血流が悪い状態では血栓ができやすくなり、血圧が上がると脳梗塞や心筋梗塞になりやすくなるので、入浴前後で水を飲む習慣をつけましょう。
これにより、血圧や血流の変化がもらたす脳疾患などを引き起こさない状態を作れるので、ヒートショックのリスクを軽減できます。
また、先述したように飲酒をすると血圧が下がり、入浴中も相まって血圧が二重に下がり危険な状態になるため、飲酒前後の入浴は控えましょう!
④ 食後1時間後に入浴
食後は消化器官に血液が集まり、血圧はやや低めの状態にあります。
つまり、飲酒と同様に食後間もない内に入浴する行為は血圧を乱高下させる原因になるので、できるだけ控えるべきです。
入浴の際には血管内の変動がより大きくなり、ヒートショックを引き起こしやすくなるので、食後に入浴する場合は1時間以上のインターバルをおきましょう。
⑤ 浴室に手すりを設置
お湯に浸かっているときは、体が温められて血圧が低下しています。
その状態で急に立ち上がると、めまいを起こしたり失神することがあるので気を付けましょう。
浴槽から出る際には、ゆっくり立ち上がることを心掛け、身体への負担を軽減してください。
手すりを付けるとゆっくりと立ち上がることができるので、手すりの設置を検討しましょう!
また、手すりがあれば目眩やふらつきが起きても、倒れる途中で掴んで転倒を防ぐことが可能です。
また、入浴中に浴槽のふたを半分ほど閉めておくことで、倒れた際にも全身が水没せずに最悪の事態を回避できるでしょう。
(参考URL)【イラストで解説】ヒートショックとは|症状・原因や入浴時の予防・対策法まで紹介!|サービス付き高齢者向け住宅の学研ココファン (cocofump.co.jp)
まとめ
冬場の入浴中のヒートショックについて解説をしてきました。
家の間取りや築年数が古い家の断熱性などが原因となり、家の中での温度差がヒートショックを引き起こすことがあります。
室温が下がりやすいお風呂場、脱衣所やトイレに暖房器具や窓のリフォームなどを活用して事故の予防が重要です!
ユニットバスや窓の断熱性能UPのリフォームに関しては、
2022年末に発表された『住宅省エネ2023キャンペーン』という補助金事業が活用できます!
以前にまとめた記事を添付しておきますので、是非ご覧下さい!
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自分は大丈夫だと過信せずに、入浴中のヒートショックの対策を十分に行い、
安心して寒い日も過ごせるようにしていきましょう!